横濱タウン新聞

計画緑地の68%が対象に

地権者「一部でも宅地にして子孫に残したい」

昨年(2011年)12月に東急建設(株)が明らかにした、新たな上郷開発計画の「事前説明」の中で﹁横浜市に緑地保全部分の買い取りを希望したい﹂という東急建設の意向に対して、林文子横浜市長は1月6日、年頭記者会見で「所有者が売りたいというのであれば、適当な規模ならば買いたい」と語った。

東急建設(株)の上郷開発担当者は、横浜市に買い取りを提案していることを、本紙の取材でも明言した。具体的協議に1月から入り、6月の都市計画提案までには決めたいとしている。

東急建設が横浜市に緑地の保全として提供するのは68・3%で22・6㌶。内訳は特別緑地保全地区指定地(30・2%)、都市公園等事業化区域(29・9%)、公園などの帰属緑地(8・2%)で、その内の相当部分の買取を希望している。

道路、水路、調整池の8・2%を加えると、横浜市が管理する部分は82%=27・1㌶が対象となる。ちなみに、東急建設の提案による地権者の所有は12・1%(4㌶)、事業者は6%(2㌶)。
買い取り提案について、東急建設は11月、地権者(地主約90人)への説明会を開き、今回の計画案について概ねの同意を得ているという。

緑地保全と地権者の要望
前回(2008年)の都市計画提案では開発による土地利用が34・9%であったものを、18・1%に縮小した背景には、市民の緑地と生物保全への強い要望と、先祖代々農業を営み農地や樹木地を守ってきた多くの地権者の要望を、開発事業者の東急建設が受入れる結果となったとみられる。

東急建設の今回の都市計画提案書では、「瀬上の森へとつながるまとまった緑を、緑の拠点とのつながりの森として保全・保存することが、当社の提案であり、目標﹂﹁高齢化が進み、一部でも宅地化して子孫に残したいとの思いから、区域内の舞岡上郷線の整備にも協力し、個々の開発を控えてきた地権者への思いを踏まえた提案」としている。

開発予定の区域には、地権者所有の宅地(戸建てと中高層住宅)と日常生活用品店、複数科診療所群(介護サービスと連携)と薬局などが計画されている。
生き物・文化財保存

文化財や生き物の保存、保全について、「橫堰、貝の化石は残すようにしたい。深田遺跡については、当局と協議して対応する」「舞岡上郷線西側の樹林にある湿地性の植物や大木、貴重な生き物は関係者と相談しながら移植・移設して保存したい。『江戸道』があると言われている山は大きく残す」。

市への譲渡後の管理は?

横浜市への譲渡が決まったとして、その後の瀬上緑地の管理について、「事業の実施は何年か先になるので、その間、耕作停止状態の民有地の田んぼや畑、果樹園などを昔の田んぼや自然の状態に戻したり、譲渡した後の管理の仕組みづくりなどを構築して引き継ぎたい」と同社。

道路整備(舞岡上郷線)で土地を提供するなど、市に協力してきたた地権者は、「売るとしても谷戸の生態系、山の上の農地などは手を掛けて残し、宅地は宅地としてきちんとやってほしい」と要求しているという。
瀬上開発提案に対する環境保全グループの見解

「瀬上沢の全面保全」を訴えて、緑地の取得・保全事業、自然環境保護活動の普及啓発事業運動を目的にした基金募集などの活動を展開している「NPO法人ホタルのふるさと瀬上沢基金」(角田東一代表)に対して12月1日、東急建設による「猿田地区都市計画提案基本構想」の説明が開かれ、同基金は次の見解と要望を述べた。

①舞岡線道路西の森/谷戸の大部分が造成され、湿地も緑も失われ乾燥化する。

②古代製鉄跡、江戸道、深田谷戸、猿田谷戸などが根こそぎ失われる。
横堰、貝化石などと一体で残さなければならない史跡と谷戸である。

③連続する三浦丘陵の北端を削り破壊するのは、まとまりの緑を縮小させる。

④人口減少の今、瀬上沢の緑を削ってまで新たな街をつくる必然性は無い。
自然を破壊すれば元には戻らない。

⑤生物多様性保全や横浜市の政策に逆行する都市計画提案は間違っている。

⑥市有地との等価交換により、市街化区域の代替地での開発検討を提案する。

⑦横浜市の買取り要請がある場合は受入れて欲しい。

⑧事業者の東急建設は〝地権者への義務履行〟を強調するが、地権者の緑地保全意識も高いはず。
基金は地権者と膝を交えて話す用意がある。

⑨貴重な緑を削ってまでの新たな街づくり提案は断固受入れられない。全面保全を求める。

緑地保全にはパートナーシップが不可欠

瀬上沢の谷戸で2005年7月から環境保全のボランティア活動を行っている「瀬上の森パートナーシップ(SMP)」(中塚隆雄代表)は、次のコメントを発表した(要旨)

私たちは、瀬上の森の谷戸の生態系、景観、文化財の一体的で実効性ある保全を、横浜市の法令や環境保全施策を最大限活用して実現していきたいと考えています。
横浜のような大都市近郊の緑地や湿地の保全には、市民、地権者、行政のパートナーシップが不可欠です。
このような認識から、市民の緑地や湿地を守りたいとの願いはもとより、地権者の思いや行政が取り得る施策も視野に入れて、3者がウィン・ウィン・ウィンの関係を構築できることを重視しています。
私たちは、瀬上の森で多くの生きものを守る調査や作業活動を行ってきた立場から、活動を通して蓄積した実地のデータや情報を活用し、開発が生態系や生きものに与える影響を指摘し、実効性ある保全のあり方を提案し、それを実現する努力を続けていきます。

なお、同グループは、具体的な生態系や生きものの保全に関する提案を2月頃に行う、としている。

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